HOME > ブレザーのサイズ直しでシルエットは変わる。プロが解説する小さく直して「着せられている感」を解消する方法
ブレザーのサイズ直しでシルエットは変わる。プロが解説する小さく直して「着せられている感」を解消する方法
この記事でわかること
- ブレザーのサイズ調整、自分でできる?プロに頼むべき「判断基準」
- 制服お直し、自分でやって後悔する前に知っておいてほしいこと
- お直しでここまで変わる!「オーダーメイドのシルエット」
- 【店主の独り言】洋裁業界の専門用語とその役目
- 肩パッドを取りたい!でも、それだけではシルエットが変わらない理由
- 【ご依頼ガイド】料金・納期・お申込みからお渡しまでの流れ
- アクセス・店舗案内(お気軽にご相談ください)
◆この記事は少し長くなっております。お急ぎの方は、上記の目次から気になる項目を選んでご覧ください。
3年間、毎日袖を通す制服だからこそ。単なる『サイズ合わせ』ではなく お子様の成長と体の動きに寄り添う『仕立て直し』を提案します。
新入生の入学準備はもちろん、『成長を待ってみたけれど、やっぱり今の体型に合う一着で進級させてあげたい』という親御様。 あるいは『卒業式や修学旅行という大切な思い出を、ぶかぶかの服ではなく、おしゃれなシルエットで迎えたい』とアップグレードをお考えの方へ。
制服は、お子様が10代のうちで最も長く着る『正装』です。 私たちは一針一針に職人の誇りを込めて、丁寧なカウンセリングと熟練の技術でお預かりした制服を、価値ある一着にしてお届けします。
ブレザーのサイズ調整、まずは自分でできる?プロに頼むべき?
【大切なブレザー、できれば自分でサッと直せると嬉しい!】 「明日までにお直ししなくちゃ!」と、急に必要になったケースや 「あと1年だけなのに…。」といった場合。
本当に自分で取り掛かってもいいのかな?と、不安になりますよね。 そんな疑問にお直しのプロの視点で解説します。
肩幅調整は、お直しの王道「仕立て直し」です
実は、裾上げなどの直線縫いと違い、袖周りは一番曲線が多い箇所です。 曲線同士を縫い合わせるのは技術が必要です。 また、ジャケットの身幅・肩幅調整は『表生地と裏生地をほどいて中を開ける』作業が必要になります。
肩幅調整のケースで説明しましょう。
まず最初に肩幅を小さくするには裏地と言われる 内側のつるつるした布地をほどいて、中(ブレザーの表地の裏側)を見れる状態にする必要があります。
次に肩幅調整の場合、ほとんどの製品に肩パッドと 裄綿 がついていますので両方とも取り外します。 その後、身頃に付いている袖を取り外して、肩のサイズ調整をします。 サイズ調整したラインに袖を取り付けますが、新たに作ったラインは最初の寸法より長くなっているので、調整しながら取り付けなければいけません。言い換えると、調整しなければ袖は付かないということになります。
袖山の『いせこみ』を調節するのはもちろんのこと、身頃や袖、肩などで調整し、各ブレザーの形に合わせたシルエットに仕立て直します。 袖が付いたら、最初の手順の逆の工程を経て、完成となります。 (※いせこみ:平面な布を立体的に形作るための高度な技法)
布地をカットしたら、もう二度と戻りません
このサイズ調整の時に一番気を付けなければいけないのは余分の縫い代をカットしなければいけないということです。 布地をカットした後はもう元に戻すことは出来ません。 小さくなりすぎないように気を付けます。
カットしなければいいのでは?と思われるかもしれませんが 縫い代が多いとごわごわとして、袖山のふっくらした綺麗なシルエットにはならないのです。
つまんで縫えないのはなぜ?
袖の取り付けは洋裁に不慣れな方にとって、かなり難しい作業です。 だったら身頃から袖を外さずにつまんで縫えば、袖の取り付け・取り外しの作業を省ける、と思いがちです。
しかし、袖ぐりと袖山をつまんで縫うのはご法度です。 構造的に袖山と袖ぐりの寸法は違うので、等間隔でぐるりと縫うことはできません。
なぜならば、ブレザーのパターン(型紙)は袖ぐりと袖山のそれぞれ仕上がり線の寸法だけがぴったり同じで、袖山の余分な縫い代は縫い縮めた後アイロンワークで『いせこみ』を安定させて調節し、身頃に取り付けています。
袖ぐりは身頃の内に入るほど寸法が長くなり(腕周り)、袖山(袖の肩に近い部分)は内側に入るほどに長さが短くなるからです。 当然身頃は布が余り、袖は布が足りなくなります。 (※いせこみ:平面な布を立体的に形作るための高度な技法)
注意!つまんで縫うと「ペンギン」や「案山子」に…
たとえ無理やり縫い上がったとしても、引きつりや突っ張りが発生して、袖が下に落ちず横に引っ張られてしまいます。 我々はよく「ペンギン」と言っています。
ひどい場合は手を下におろすことが出来ずに案山子のように横に広げないといけなくなります。 無理やりおろしても、ギプスを付けられたようにシルエットだけでなく着心地も大変悪くなります。

実際に失敗事例を拝見して思うこと
嘘のようなお話ですが、実際にこのような事例でお持ちくださった方も過去にいらっしゃいました。
一度つまんで縫ってしまうと、地の目(布の向き)が歪み、プロがやり直しても100%綺麗に戻せないケースがほとんどです。 ほどいた針穴が目立つ場合もあります。 その場合、通常のお直しより手間が2倍かかりますので料金もそれに比例します。この状態ですと『お直し+修理』ということになり結果的に高くついてしまいます。
もしも布地を切り落としてしまったら、袖丈は短くなりますし全体のシルエットも型崩れを起こしますので、リカバリは見込めません。再度、新規で制服を購入することになるかと思います。
ご自身で修理に取り掛かる前に、まずはご相談ください。
なぜ今の制服は『着せられている感』が出るのか?
◆料金・納期・ご依頼の流れにつきましては下記ページにてご覧いただけます。料金・納期・ご依頼の流れを確認する
例えば、お嬢様のブレザー
修学旅行の記念写真で、肩のラインがピッタリ合っているだけで、驚くほど上品に、洗練されて見えるものです。 たった1cm肩幅を整えるだけで、全身のバランスは見違えるほど変わります。
ただし、当店では肩幅調整の限界を『左右各2.5cm(計5cm)』までと定めています。 これ以上の調整は、ブレザー全体のシルエットバランスを崩し、胸ポケットやエンブレムに袖が重なり、デザインを損ねてしまうからです。
また、肩口(袖山)に職人が仕立てたブレザー(ジャケット)特有の『美しいふくらみ』を再現するため、 内側の不要な縫い代はカットして細くする必要があります。 そのため、一度小さくしたものを再び大きく戻すことはできません。
お客様の大切なブレザーをあなただけの特別な一着に仕立て直すための譲れない『一線』です。何卒ご理解いただければ幸いです。
近年のサイズ事情
ご依頼いただいたお客様のお話をお伺いすると、近ごろはサイズ展開の種類が少ないそうです。 MかLサイズしかないことも多く、体にぴったり合うサイズを探すのが大変困難なご様子です。
一昔前は号数で選ぶことが出来ました。 最近ではあまり聞かなくなったかもしれませんが、9号や11号などのことです。 号数の方がグレーディング(適切なピッチ(差)でサイズを調整)がパターンに細かく設定されますので、体に合ったサイズを選びやすかったのです。
しかし、MまたはLのみの二択となると、無理やりどちらかを選ばざるをえなくなり、 例えば「Mだと少しきついからLにしよう。」と選んだとします。 けれど、実際に届いた制服に袖を通してみると、『肩幅が大きくて気になるし横幅もぶかぶかしている、、、』という状況がおこります。
コストに翻弄される
既製品はなるべく多くの体型に合うように作られるので(より汎用性の高いシルエットを追求) 通常ファッションのブレザー(ジャケット)よりもおそらく大きく作られているはずです。
制服業界が効率化を優先し、サイズ展開を絞る(M・Lのみなど)のは、製造側の都合としては仕方のない事かもしれません。 しかし、その都合による弊害を一番に受けているのは、成長期の大切な時期を過ごすお子様や親御様たちです。
『誰にでも合う』ように作られた既製品が『誰にも合わない』ものになってしまった今、 個人の体型に合わせた『仕立て直し』こそが、制服を正しく着るための唯一の手段になりつつあります。
当店では量産品の制服を、一針一針丁寧に仕上げ、オーダーメイドのような着心地をご提供いたします。 仕立て直しでしか、得られないシルエットがあります。
ジャケット(ブレザー)の重要拠点は『肩』
仕立ての世界では古くから『ジャケットは肩で着る』と言われてきました。
これは、肩幅が体型にフィットするように作られていることこそが、着心地と美しさを決める絶対的な基本だからです。 肩幅が正しく合っていれば、服の重さが背中全体に分散され、驚くほど軽く感じます。 肩のラインが自然であれば、立ち姿に品が生まれ、決して『だらしなく』見えることはありません。
逆に、サイズ展開が少ない既製品の制服をそのまま着て、肩が落ちてしまっている状態はどうでしょうか。
肩全体で支えるべき重みが腕側に流れ、袖の重さが襟ぐりや肩先を下に強く引っ張ってしまい、型崩れの原因にもつながります。 これでは見た目が『着せられている』印象になるだけでなく、成長期のお子様の肩や首に、 日々余計な負担をかけ続けてしまうことになりかねません。
リフォーム繕では、中学生や高校生の成長を妨げないためにも、できるだけ体に負担をかけない『正しいライン』の制服を着てほしいと願っています。
【重要】肩幅の寸法を調整すると、袖の長さも連動して変化します。
例えば左右2cmずつ肩幅を狭くした場合、袖の付け根が肩先に向かって上に引き上げられるため、 実質的に袖丈も約2cmほど短くなったように感じられます。 これを計算に入れずに袖丈だけを先に直してしまうと、短くなりすぎて取り返しのつかないことになります。
当店では、この連動性をふまえて計算し、全体のバランスを考えたご提案を差し上げています。
肩が落ちている状態は、単に見た目がだらしないだけではありません。 本来、骨格で支えるべき制服の重みが、二の腕側に流れ、襟ぐりが首を圧迫します。 成長期のお子様にとって、この肩幅のズレが蓄積する負担は決して小さくありません。
当店では見た目の美しさと同時に、『健やかな成長を妨げない設計』をお直しで実現したいと考えています。
業界用語の『さわる』とは
業界用語で、取り扱うことを『さわる』と表現することが良くあります。 経験の浅いお針子さんは『ジャケットはさわれない』ことがほとんどです。 それほど袖付けは、裾上げとは次元の違う難易度なのです。 袖付けは仕立ての中でも難しい作業とされています。仕立て直しの場合元のパターンの袖ぐりを変形させて元の袖山を取り付けるという作業になります。 用意されたパターン同士をつなぐよりもさらに難易度が高く、確かな技術が必要になります。
アイロンは脇役ではなく大切なパートナー
袖を付ける前段階でのアイロンワークも繊細な作業です。 いせこみを押さえて袖山の形を作り、身頃に袖が付いた時にきれいに収まるように整えます。 その際にアイロン仕上馬と言われる道具を使用します。平面のアイロン台だけでは仕上げることができないので、重要な道具の一つです。
ご家庭でのアイロン作業でも仕上げ馬が一つあればYシャツやブラウス、パンツなどのアイロンがけ作業がぐんと楽になると思います。
見えない部分にこそ、着心地の正体が宿る ―― 中綴じの重要性
表からは見えませんが「中綴じ」という作業も欠かせません。(中綴じ自体ご存じないお針子さんもいらっしゃいます) なぜ必要かというと、表地と裏地をつなぐ役目だからです。多くの既製品は表地と裏地は別々に作られているので、要所要所で留めてあげないとぱたぱたしてしまいます。
例えば上着を脱ぐとき、袖がするりと抜けると思いますが、中綴じがされていないとどうなるでしょうか。 裏地が洋服にまとわりつき、脱いだ拍子に裏返ってくっついてきます。 わかりやすい例だと、ロングコートの裏地やワンピースの裏地をめくった時に脇を糸でつなげてあるかと思います。 あれも中綴じの一種で、裏地と表地が離れないようにしています。 中綴じもただくっつければいいというものではなく「遊び」も必要です。キュウキュウに留めてしまっては、表地がひきつり見た目が悪く、裏地に圧迫されて着心地が悪くなってしまいます。 それを踏まえて適度な遊び(ゆとり)を持たせて留め付けています。
袖は前に振ってこそ真価を発揮する
袖付けの際に気を付ける点はもう一つあります。 袖を前に振るように取り付けます。
鏡の前で横を向いて立った時腕が脇線より前に出ているのがわかるかと思います。 人間の体型に合わせてブレザーの袖も前に出るように付いています。それが『前に振る』ということです。
パターン(型紙)自体が前に振るように設計されています(二枚袖など)ので、正しく付ければ自然と前に振ります。 しかし、袖山の中心点と肩先の中心がずれていたり、袖ぐりと袖山の寸法が著しく違うなど「正しくない箇所」があると 前に振らずに垂直に落ちたりします。 そうなると肩がつぱったり、腕を後ろに引かれ着心地の悪い上着になってしまいます。
肩パッドを取り外しても変わらない理由
肩幅が大きいから肩パットだけを取り外してほしいといったご要望を頂くことがあります。
上着のパターン(型紙)は製図段階において、肩パットが入る前提(入れる肩パッドの厚さまで決まっている)で設計されますから、 ただ取り外しただけでは型崩れを起こすだけになってしまいます。 また肩幅の大きさが気になるのは肩パッドのせいだけではありません。 肩幅自体が大きいからにほかなりません。
肩幅調整は、最初のラインを決める瞬間から、最後の仕上げに至るまで、大変神経を使う作業です。
だからこそ、全ての工程を終え、仕上がったブレザーをトルソーに着せたとき。 袖がスッと自然に前に振れ、美しいシルエットが再現されているのを確認できた瞬間は、喜びもひとしおです。 これは何度経験しても変わらない喜びでもあります。
ただサイズを変えるだけではない。ご本人様と親御様がこれから制服とともに歩む3年間を、職人としてお手伝いがしたい。 そんな想いを持ちながら、リフォーム繕は今日も一針ずつ、譲れない一線を守り続けています。
料金・納期・ご依頼の流れ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 お子様の大切な一着を、いつ、いくらで、どのような手順でお直しできるか、 詳しい料金表や仕上がりまでの日数、ご依頼の流れについては、こちらの『ご依頼ガイド』にまとめています。料金・納期・ご依頼の流れを確認する
直接職人へ技術相談を申し込む 「リフォーム繕では、お客様の大切な3年間を共にする制服に、職人としての誇りを持って真摯に対応しています。 安さや早さではなく、『本物の仕立て』を求められる方からのご相談をお待ちしております。」
アクセス・営業のご案内
- 住所
- 〒599-8251
大阪府堺市中区平井343-1坂口倉庫13 - 営業時間
- 8:00~17:30
※(受付時間17:00) - 受付営業日
- 木・金・土・日
- 定休日
- 火・水曜日
- 作業日
- 月曜日(受付業務はありません)
- 駐車スペース
- 3台|無料
- アクセス
- 原池公園から徒歩6分|堺市立平井中学校より徒歩2分
その他
技術相談以外のご不明点やご質問がございましたら、メールよりお問い合わせください。
- PC: [ページ右側の追従ボタンからお問い合わせいただけます。]
- モバイル: [フッターの追従ボタンからお問い合わせいただけます。]
当店ではお預かりした制服を1枚1枚丁寧に作業しています。いくつもの複雑な工程を要します。 そのため、お急ぎの方や安さ重視の方には、近隣のチェーン店をお勧めしております。

